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エキスパート・スポットライト:香港のディールメーカーたちは資本フローの変化、AI主導の成長、新たなパートナーシップモデルに的確に対応

2026年07月20日 (最終更新 2026年07月30日) | ブログ

エキスパート・スポットライト:香港のディールメーカーたちは資本フローの変化、AI主導の成長、新たなパートナーシップモデルに的確に対応

ハイライト:

  • AIにより投資の優先順位が一新しつつあり、電力、デジタルインフラ、データセンターに対する需要が後押しされる一方で、テクノロジー企業の企業価値に対する精査が厳格化しています。 
  • 企業が従来の事業拡大戦略よりパートナーシップや合弁事業、事業分割を積極的に追求する動きが増えるにつれて、クロスボーダーM&Aのあり方も変化しています。 
  • ポートフォリオ管理、資金調達、投資家分配の分野では、セカンダリー市場の動向や代替的な流動性ソリューションの重要性がますます高まってきました。

 香港は、長年にわたりアジアとその他地域にわたる資本、企業、投資家を結ぶゲートウェイとしての役割を果たしてきました。現在、AI主導の投資テーマ、地政学的情勢の変化、資本フローの活発化などにより変容する市場にディールメーカーたちが対応していく上で、この役割はますます重要になっています。 

直近の「Datasite Dealmakers Dialogues Hong Kong」では、投資銀行、プライベートキャピタル、インフラ、法務アドバイザリーをはじめとする業界リーダーたちが、地域全体のM&A活動を再構築する原動力をめぐり議論を交わしました。  

このパネルディスカッションでは、PEI Global Partnersのマネージングディレクター兼APAC責任者である エイドリアン・アウ氏、 BNPパリバのM&Aチームディレクターである カルビン・ラム氏、みずほグリーンヒルのプライベートキャピタル担当アドバイザリーグループディレクターであるヘンリー・レオン氏、さらにローブ・スミスのコーポレート&ファイナンス部門パートナーである ヴァニシャ・ハルジャニ氏が登壇しました。 

パネリストたちは、多様なセクターや市場に関する議論の中で、資金調達は引き続き可能であるものの、投資家が投資先と投資手段についてこれまでより厳格に選別するようになっている市場環境を指摘しました。 

 

変化するクロスボーダー資金フローに対応する香港のディールメーカーたち 

このパネルの中で特に顕著なトレンドとして挙げられたのは、投資家が自国市場以外の新たな機会を模索する中で、国境を越えた資本の移動が続いている現状でした。 

インフラやエネルギー分野では、発電、 再生可能エネルギー、デジタルインフラ関連の資産に対する需要が引き続き堅調です。インド、オーストラリア、日本、韓国などの市場にはこれまでどおり投資家が強い関心を寄せる一方で、東南アジアはエネルギーやデータセンターのキャパシティに対する需要の高まりという追い風を受けています。同時に、アジアの投資家たちは、規模の拡大や成長の機会を求めて国外市場にますます注目するようになりました。 

こうしたトレンドを受け、香港拠点のアドバイザーや投資家にとって、クロスボーダー取引に関する専門知識の重要性が浮き彫りになっています。成長、インフラ、テクノロジーの投資機会を求めて資本が市場間を移動し続ける中で、ディールメーカーたちには、国境を越えて投資家、企業、投資機会を結びつける役割がさらに求められています。 

同パネルではまた、 デジタルインフラをめぐるモメンタムの継続についても焦点が当てられました。AI関連のコンピューティングキャパシティに対する需要が拡大し続ける中で、東南アジア全域、特にマレーシアやタイのデータセンター開発に向けた多額の資金調達やM&Aが活発化しています。 

しかし、リスクの集中に関する投資家たちの意識も高まりつつあります。AIは依然として有力な投資テーマではあるものの、多くのリミテッドパートナーは運用会社に対して、データセンターにとどまらず交通、電化、さらに広範なインフラ資産など関連分野の投資機会を模索するように促しています。 

 

クロスボーダーM&Aの新たな一章 

長年にわたり、中国が関わる様々なクロスボーダー取引の主な目的は、中国市場への参入でした。しかし同パネルでは、この状況に変化が訪れていることも指摘されました。 

自動車業界では、中国メーカーが技術、研究開発、コスト効率の観点から大きな強みを構築してきました。その結果、中国と欧米の自動車メーカー間の提携では、中国市場への参入機会のみならず、互いの強みを補完し合うことに主眼が置かれる傾向が強まっています。 

この変化は、 クロスボーダーM&Aがさらに広範に進展していることを示すものです。企業はポートフォリオの見直しにより直接保有すべき分野を精査するとともに、パートナーシップ、合弁事業、事業分割を通じて価値創出の機会を模索しています。多くの企業が、事業の拡大自体を目的とするのではなく、成長や資本配分に的を絞ったアプローチを採用しています。 

こうした推移を受け、香港のディールメーカーには、複雑化が進む取引構造に関するアドバイスの提供という新たなビジネスチャンスも生まれています。世界規模で貿易構造が変化し続け、規制課題もますます複雑化する中で、成長を追求しながらリスクを管理したいと考える企業にとって、戦略的パートナーシップが重要な施策として浮上しています。 

さらにこのパネルでは、新たな対外投資の枠組みや特定セクターにおける監視の強化など、変化し続ける規制環境への対応についても議論が展開されました。パネリストたちは、長期的な影響は依然として不透明であるものの、規制の動向が今後もクロスボーダー取引の構造や実行方法に影響を与える可能性が高いと述べています。 

 

 

プライベート市場では流動性ソリューションをめぐるモメンタムに高まり 

プライベートキャピタルもまた、パネリストたちが大きなビジネスチャンスの可能性を指摘した分野です。 

機関投資家がポートフォリオの積極的な運用やエクスポージャーのリバランスを実行し、流動性確保の手段を模索する中で、セカンダリー市場取引が拡大し続けています。世界規模の大型セカンダリーファンドが過去最高水準の資金調達に成功し、銀行、ファミリーオフィス、ソブリン・ウェルスファンドが取引に直接参加するケースも増えてきました。 

ポートフォリオ運用におけるセカンダリー取引の重要性が高まるにつれ、アジア全域で活動するアドバイザーや投資家たちはこうした動きをますます重視しています。資金調達の競争が激化し、分配金の支払いが引き続き優先課題となる中で、LPおよびGP主導の取引が、流動性の確保やポートフォリオのリバランスを図る上でさらに重要な手段になりつつあります。 

パネリストたちは、高品質でディフェンシブな資産や、サプライチェーン混乱の影響を受けにくい企業に対する需要が依然として最も強いと述べています。一方で、CFIUSによる逆規制などの規制動向により、アジアを拠点とする投資家にとっては、特定の海外バイヤーとの競合が比較的少ない取引を進める機会が生まれることも期待できます。 

さらに同パネルでは、効率的な構造化の重要性も浮き彫りになりました。ケイマン諸島や英領バージン諸島(BVI)などの管轄区域におけるオフショア法人が、クロスボーダー投資、ファンド構造、合弁事業、流動性取引を促進する上で引き続き重要な役割を果たす一方、デジタル資産やトークン化した投資構造を伴う新たな活用事例が、機関投資家の注目を集め始めています。 

 

今後の見通し 

「Datasite Dealmakers Dialogues Hong Kong」では、ディール活動は減速ではなく進化し続けているという明確なメッセージが発信されました。 

AIによりインフラやデジタル資産への投資が加速し、企業がさらに柔軟なパートナーシップモデルを採用し始め、プライベートキャピタル投資家はセカンダリー取引や代替的な流動性ソリューションを積極的に導入しています。こうした一連のトレンドに共通するのが選別の厳格化です。 

香港のディールメーカーには、さらに国際化が進む取引環境に対応したいと考える投資家や企業への支援提供というビジネスチャンスが待っています。資本フローが変化し続け、取引構造がますます複雑化する中で、香港は引き続き世界の投資家とアジア全域の投資機会をつなぐ重要な玄関口としての役割を果たしています。 

 

 

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