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マーケット・スポットライト:ニッケルと物流がインドネシアのM&Aを牽引
2025年12月08日 (最終更新 2026年01月13日) | ブログ
マーケット・スポットライト:ニッケルと物流がインドネシアのM&Aを牽引
ハイライト:
- インドネシアの2025年第3四半期のM&Aは、同国がエネルギー移行やサプライチェーン・インフラを戦略的に重視していることを背景に、ニッケル鉱山開発や物流の案件が中心となりました。
- エネルギー・鉱業・公益セクターがディールの件数、総額ともにトップでした。他方、製造業や電子商取引分野からの需要に応じて事業者が処理能力を拡大させた運輸・倉庫セクターも主要テーマであり続けました。
- 市場で圧倒的に多かったのはインドネシアの買い手企業ですが、いくつかのトップクラスのディールでは日本やマレーシア、シンガポール、韓国といった周辺国からも関心が寄せられ、インドネシアがAPACの投資ハブとしての役割を担っていることを示しました。
インドネシアは、内需に加えて購買力保護と銀行の流動性支援を目的とした政策措置によって第2四半期GDPが前年同期比5.1%増となり、比較的好調な経済状態で第3四半期を迎えました。当局は8月下旬、20億ドルの包括的な個人消費支援策、国営銀行に対する追加資金注入、貿易・投資への継続的関与を発表しました。
M&Aは昨年より減少したものの、途切れることなく実施されました。年初来のディールの件数は62件、金額は約32億米ドルに達しました。第3四半期は前年同期比で件数、金額ともにペースが鈍化し、25 件で約13億米ドルとなりました。M&A活動が鈍化しても、発表された取引は新しい分野に移らずに慣れ親しんだ投資テーマの界隈に集中しました。
セクター別でみると、M&Aのテーマはインドネシアの中期的ストーリーと整合的でした。エネルギー移行と重要鉱物(特にEV電池に欠かせないニッケル)が引き続き関心を集めた一方、製造業と電子商取引からの需要に応じて事業者が処理能力を拡大させた物流・倉庫の実物資産プラットフォーム分野も重要分野であり続けました。
インドネシアの第3四半期に開示されたディールのうち金額が大きかった10件を並べると、M&A活動が特定のセクターに集中していることが分かります。上位10件のうち4件はエネルギー・鉱業・公益事業を対象としたもので合計7億8,400万米ドル、3件は運輸企業に係るディールで合計4億6,700万米ドルでした。残りの上位案件はテクノロジー、メディア・テレコム(TMT)、建設セクターでしたが、これらのセクターのM&A総額はより少規模でした。
第3四半期中に開示されたディールとしては、例えば、United TractorsがArafura Surya Alamを5億4,000万米ドルで買収、Astra InternationalがMega Manunggal Property(倉庫業)を2億7,800万米ドルで買収、EcoproがBahodopi Nickel Smelting Indonesiaの株式の20%に1億4,200万米ドルを投資しています。これらを総合すると、エネルギー/インフラ支援サービスや工業用不動産が依然としてディール・メイキングの中心となっていることが分かります。
第3四半期のインドネシアのM&Aを牽引したのはエネルギー・鉱業・公益事業セクターで、ディール件数(6件)、ディール総額(7億8,400万米ドル)ともに最多でした。運輸、TMT、金融サービス、工業・化学(I&C)も活動が目立ち、運輸は総額4億6,700万米ドルと、金額で第2位でした。バイサイドでは、インドネシアの買い手企業が最も活発に動き、8件で総額10億米ドル以上の取引を行いました。日本、マレーシア、シンガポール、韓国がそれぞれ複数の取引に参加するなど、周辺国からの関心の高まりも明らかになりました。
中華圏、日本、韓国、東南アジア、インド、オーストラリア・ニュージーランドを含むAPAC市場を包括的に見るには、Deal Drivers:APAC Q3 2025レポートの全文をダウンロードしてください。