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日本のM&Aの最新状況:現状匕動向

2022年12月19日 | ブログ

日本のM&Aの最新状況:現状匕動向

2022年9月、東京とオンライン同時開催で「マージャーマーケット ジャパンM&Aフォラーラム」を開催いたしました。ご参加いただいたのは、24地域320社を超える企業・組織から550名以上。大手企業から33名の講演者が登壇し、ESGやコーポレート・ガバナンス、国内M&Aの動向、日本のプライベート・エクイティ等に関する様々なトピックについて、意見を交わしました。

Datasiteの日本責任者である、清水 洋一郎が下記パネリストとともに「日本における最新M&Aの動向」に関してセッションを行いました。

  • 人見 健, M&Aグループリーダー パートナー, 株式会社NTTデータ経営研究所
  • 竜口 敦, 投資銀行本部 マネージング ディレクター M&Aアドバイザリー・グループ統括責任者, 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
  • 安久 芳伸, 投資銀行統括本部 M&A本部長 マネジングディレクター, シティグループ証券株式会社
  • 林 義和, ポートフォリオ改革推進部 シニアバイスプレジデント, 三菱ケミカルグループ株式会社
  • 丹羽 尚, シニアディレクター Strategic Growth & Investment, 富士通株式会社

コロナ禍からの経済回復の矢先に訪れた、世界的な高インフレ。日本のM&Aの最新状況と、この先の日本のM&Aを牽引する投資テーマ、トレンドそしてリスクと課題について、ディスカッションを行いました。

各テーマにおける専門家のインサイトは以下の通りです。

日本のM&A、今後12ヵ月の見通し

規制当局のクリアランスに関して、国家の安全保障の観点が非常に強く、当局が大きな裁量権をもつため、プロセスのレビューが難しい状況になっています。また、過去の取引実績から、案件が成立するタイミングを予測することが非常に難しくなってきており、案件の発表からクロージングまでのタイムラインが、相対的に長くなっていくことでしょう。

2022年上半期における、世界のM&A活動は停滞し、2021年の同時期と比較し、金額は21%、取引件数で17%の減少というデータが出ています。ただし、技術・メディア・通信分野では、大きく伸びています。

円安だからといって、アウトバウンドの案件を見送ったり、一旦凍結したり、案件を進めない、というようなことはありえないでしょう。特に、テクノロジー業界においてはスピードが命であり、少しでも遅れてしまうと、他社に買収されてしまう可能性があります。

大企業のカーブアウトは増加していくのか

カーブアウト、つまり広い意味での事業売却は、来年・再来年にかけて爆発的にではなく、ゆるやかに増えていくことでしょう。その要因のひとつはガバナンスです。単純に収益性が悪い事業を売却するのではなく、収益性の高い事業でも、将来の投資に対して優先順位をつけられない場合は、売却する方向での議論がされています。

クロスボーダーM&Aのリスクと課題

円安だからといって、アウトバウンドの案件を見送ったり、一旦凍結したり、案件を進めない、というようなことはありえないでしょう。特に、テクノロジー業界においてはスピードが命であり、少しでも遅れてしまうと、他社に買収されてしまう可能性があります。ビジネス環境の変化に対応することも重要ではありますが、それ以上にスピード感を失わないということのほうが重要であるでしょう。

また、ここ数年で、ターゲットとなる企業のバリエーションが過去数年間と比較し、管理しやすい水準に落ち着いておりそういった企業との提携など何らかの取り組みを一緒にするチャンスも生まれています。

今後も、海外企業の買収に関する議論は続くことでしょう。外貨で強いキャッシュフローを買うという考え方もあるでしょう。一方で、日本企業の海外事業を売却するタイミングに来ているという見方もあります。

アメリカでは海外投資規制の動きがでてきています。例えば、本格的な導入はされていないが、半導体業界では、アメリカ国内の投資には助成金を出す代わりに、中国などに対する投資が制限される、ないしは中国メーカーに製造を委託するのが難しくなるというようなことも起きている。こういったベクトルはしばらく変わらないでしょう。

海外M&A、ディールメーカーが目指すべきものとは?

昨今のアメリカ・中国間の緊張や、ロシア・ウクライナ戦争などの世界情勢を考えると、あらゆる業界で直面するのがサプライチェーンの問題です。ひとつの切り口として、自社製品やサービスのバリューチェーンあるいはサプライチェーンを総合的に見直し、その中で脆弱な部分やリスクがあれば、M&Aや戦略的な提携によって、補完・強化していく必要があるでしょう。

日本およびAPAC地域におけるディールメーキングの最新情報・トレンドや、ディールを推進する市場の勢力に関しては、Datasiteの「 Deal Drivers reports」をご覧ください。

Deal Drivers: ローカルスポットライト

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