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マーケット・スポットライト: APACのM&A銀行家は、市場の減速に直面しながらもメガディールに注力

2022年11月04日 | ブログ

APACでは、低金利時代が終焉を迎えつつあります。

10月初旬、オーストラリア準備銀行は25ベーシスポイントを引き上げて2.6%とし、韓国の中央銀行は半ポイント引き上げて3%とすることを選択しました。ニュージーランド準備銀行は10月初めに公定歩合を3.5%に引き上げ、過去12ヶ月間で8回目の利上げとなっています。

金利の引き上げは、高騰するインフレを抑制することを目的としており、世界的な金利上昇、特に米国連邦準備制度理事会の決定により、多くのアジア諸国では資本流出と通貨安ドル高が発生することでしょう。

 

信用市場は冷え込み期に突入

信用市場への影響は、必然的にM&Aの分野にも及び、M&Aは冷え込み期に入りました。Mergermarketのデータによると、第3四半期に1,240件のAPACディールが発表され、その総額は1,610億米ドルにのぼりました。コロナ禍以降の四半期の数字と比較すると堅調ではあるが、これらの総計は第2四半期から取引数で13%、金額で63%もの大幅な減少を記録しています。

EYのデータによると、今年1〜9月までにAPACでは608件のIPOが行われ、1,000億米ドル強の収益が計上されましたが、前年同期比、取引数で25%、金額で22%減少しています。

銀行は、数十件の小規模案件とそれに伴う評価査定、資本調達、デューデリジェンス、交渉にリソースを割くよりも、より収益性の高い大規模案件を絞り込んで取り組んでいくことになるかもしれません。

メガディールへの注目度の高まり

資金調達の環境が厳しくなり、M&AやIPO市場が減速する中、銀行の収益が圧迫されています。逆風が吹き荒れる中、投資銀行はアドバイスする案件をより厳選する必要がでてくることでしょう。

しかし、入札や上場の市場が完全に消滅することはありません。今年アジアで行われた15件のメガディールは、合計で3,208億米ドル(昨年31件のメガディールで記録した3,518億米ドルから僅かに減少)に上り、今後も高い収益性を維持と予想されています。

銀行は、数十件の小規模案件とそれに伴う評価査定、資本調達、デューデリジェンス、交渉にリソースを割くよりも、より収益性の高い大規模案件を絞り込んで取り組んでいくことになるかもしれません。

 

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