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市場の注目ポイント。 DX化とESGが日本のM&Aの主役に

2022年02月18日 | ブログ

By Robert Torio, Content Marketing Manager, APAC

デジタル化からデジタルトランスフォーメーション(DX)、コングロマリットや親族経営からカーブアウト、事業分離まで、M&A取引における通常のデューデリジェンスから、ESG(環境・社会・企業統治)買収のための高度なデューデリジェンスまで。これらは、最近日本のM&A業界を騒がせている話題の一部です。

先日にMergermarketとDatasiteが共催したウェビナー、「ジャパンディールモメンタム:M&A、プライベートエクイティ、テクノロジートレンド」では、登壇した専門家たちが2021年の日本のM&Aパフォーマンスを解説し、2022年の市場展望を共有しました。

株式会社KPMG FASの執行役員パートナー ディールアドバイザリーである谷 千晶氏を中心に、パネリストとともにディスカッションを行いました。

  • 石田 雅彦、DLAパイパー東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所 パートナー / コーポレートグループ代表 
  • 木戸 明宏、みずほ証券株式会社 グローバル投資銀行部門 プロダクツ副本部長(グローバルアドバイザリーヘッド)
  • 京極 玲、SMBC日興証券株式会社 執行役員 コーポレート・ファイナンス本部長
  • 松本 健、富士通株式会社 ディレクター、海外買収案件担当、Strategic Growth & Investment
  •  清水 洋一郎、Datasite 日本責任者
企業によるカーブアウト、事業分離、リストラクチャリングがM&Aの主流に

ウェビナーの投票では、60%以上の参加者が、2022年のM&A市場を牽引する最大の要因が企業のカーブアウト、事業分離、リストラクチャリングであると回答しています。一方、30%の参加者は、高レベルのドライパウダーの存在とPEファンドの活動が、今年の日本におけるM&A取引の原動力になると考えているようです。

SMBC日興証券株式会社の京極氏は、コングロマリットによるノンコア事業の売却や親子上場の解消は今後も続き、グローバルなPEファンドが高いプレゼンスを維持すると指摘した。

DX化の恩恵を最大限に受けるためのデューデリジェンス

M&Aにおいてテクノロジーとデジタル化によって最も強化される分野については、ウェビナー参加者の66%がデューデリジェンスに投票しました。また、「アセット・マーケティング」と「ポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)」はそれぞれ12%でした。

また、谷氏は、「交渉やクロージングは、対面でのやりとりが必要なので、完全にテクノロジーに頼ってはいけないのかもしれない」と推論しました。

Datasiteの清水は、新型コロナ感染拡大によってM&Aプロセスのデジタル化が急速に進み、日本のディールメーカーは国内案件でもクロスボーダー案件でも、リモートでデューデリジェンスを行うことができるようになったと述べています。さらに、機密情報を共有するために電子メールに頼るのではなく、安全なコミュニケーションツールとしてデータルームを利用するディールメーカーが増加していると話しました。

ESG(環境・社会・企業統治)が対象企業の考慮要素に

2022年のM&Aにおける最も重要な成功要因について、ウェビナーに参加したディールメーカーの約6割が、ディールの成功には戦略、ターゲット企業の特定と選別が重要だと考えています。  一方、15%は、M&Aの成功には、オンラインによる迅速な案件交渉とクロージングがより重要であるとの見解を示しました。 

M&A戦略、特にターゲット選定において、ESG(環境・社会・企業統治)が新たな判断基準になり、富士通株式会社の松本氏は、富士通は交渉の初期にターゲット企業とESGについて話し合い、富士通のビジョンに沿ったターゲットを経営陣が見極めるのに役立てていると話しました。

このウェビナーで議論されたインサイトとトレンドの詳細については、オンデマンドの録画を視聴してください

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企業による事業売却、デジタルトランスフォーメーション(DX)、ESG(環境・社会・企業統治)のトレンドなどが続くなか、日本のディールメーカーは2022年のM&A案件パイプラインについて明るい見通しを持っている。

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