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マーケット・スポットライト:EA買収によりゲーム業界のM&Aはレベルアップするのか

2025年10月21日 (最終更新 2025年10月31日) | ブログ

マーケット・スポットライト:EA買収によりゲーム業界のM&Aはレベルアップするのか

アフィニティ・パートナーズ、シルバーレイク、サウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンドが率いるコンソーシアムによる、ビデオ・ゲーム開発会社であるエレクトロニック・アーツ(EA)の550億ドルでの買収は非常に規模の大きなM&Aです。

このディールは、 ゲーム業界史上最大のスポンサー主導による買収であるだけでなく、 史上最大のレバレッジド・バイアウトでもあり、すでにビデオ・ゲーム業界のM&Aエコシステムに変革的なインパクトを与えています。

このディールにより、2025年第3四半期のビデオ・ゲーム業界の取引価額は569億ドルに達し、取引価額としては過去2番目に大きい四半期となりました。 ブティック型投資銀であるAream & Coと専門調査コンサルタント会社であるInvestGameの統計よると、マイクロソフトがアクティビジョン・ブリザードの買収を完了した2023年第4四半期に計上された691億ドルだけがこれを上回ります。

Aream & CoとInvestGameによると、この巨大なEAディールにより、2025年第3四半期末までの1年間のビデオ・ゲーム業界のM&A取引価額は654億ドルに達し、 2024年同期に記録された45億ドルの14倍以上となりました。

ディールが多い市場セグメント

しかしながら、EAの大規模買収前の2025年には、ビデオ・ゲーム業界の勢いは増していました。

3月には、 モバイル広告とウェブベースのゲーム開発を手がけるScopelyが、拡張現実(AR)とモバイル・ゲーム事業を手がけるナイアンティックを35億ドルで買収し、5月には CVCキャピタル・パートナーズが、トルコを拠点とするパズル・ゲーム「Royal Match」の開発会社であるDream Gamesの株式の過半数を50億ドルで買収することで合意しました

推定1780億ドル規模のこの業界は、ブルームバーグによれば、ロックダウン期間中に大きな成長を遂げ、開発者たちは野心的な新作ゲームの発売に向けて予算を増強することになりました。しかし、市場は高価格の新作で飽和状態になりました。プレイヤーはお気に入りのゲームに固執し、それが売上の低迷やゲーム・スタジオの閉鎖につながりました。

このような逆風に直面する中、ビデオ・ゲームのグループ企業は同業他社を買収し、スケール・メリットとシナジー効果を得るためにM&Aの機会をうかがっており、この業界の統合が進んでいます

また、提携関係を深めるために企業が同業他社の少数株式を取得するマイノリティ・ディールも、市場で数多く行われています。 例えば、ソニーは、4億6400万ドルで、アニメやゲームのグループ企業であるバンダイナムコの株式の2.5%を取得しました。この日本の2つのエンタテインメント・グループ企業はこれまでも協業してきましたが、今回の契約は、ソニーの大規模な配給・制作インフラとバンダイナムコのアニメ・マンガの知的財産(IP)を組み合わせることで、両グループ企業の関係がさらに深まることを意味します。

これからも成長が課題

統合とシナジー効果により、ビデオ・ゲーム業界のM&Aは短中期的に活性化し続けるでしょうが、ディールメーカーもまた、忠実なファン層を構築した強力なIPと実績あるゲーム・ポートフォリオを持つ事業において成長力を獲得し、投資を行う機会を求めています。

Aream & Coは、投資市場が二分化しており、確立されたポートフォリオを持つ大手ゲーム会社(EAに投資するディールメーカーにとって重要な戦略的根拠) 、および、コンソールやPCゲームからモバイルや拡張現実(AR)まで、選択したプラットフォームにおいて魅力的なゲームIPや際立った能力を持つターゲットに資本が集まっていると指摘しています

ゲーム・ユーザーのエンゲージメントは堅調で、モバイル・ゲーム、PCゲーム、コンソール・ゲームへの支出は、パンデミック後の落ち込みから回復しています。

ディール機会は出現していますが、主に、先行開発コストの収益化、IPライブラリの価値の最大化、粘着性のある熱心な顧客基盤の育成に実績のあるビデオ・ゲーム会社に限られています。