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マーケット・スポットライト:APAC 2024 デューデリジェンス・ベンチマーク
2025年04月21日 | ブログ
マーケット・スポットライト:APAC 2024 デューデリジェンス・ベンチマーク
2024年、取引活動はデューデリジェンス・ベンチマークに対しどのような実績を残したのでしょうか?このたび、APACのスコアカードが発表されました。最新のDatasite Forecasterレポートのデータでは、取引準備期間、デューデリジェンスに費やした時間、および2024年に成約に至った案件に関するパイプラインの活動についてのインサイトをお伝えしています。
世界全体では、2024年の新規取引は前年比12%増となりました。APACのM&Aパイプラインの活動は前年同期比で17%増加しました。バイサイドのキックオフ活動は2%の微増でしたが、セルサイドのキックオフ活動は前年同期比21%の大幅増となりました。
セクター別では、TMTセクターおよび工業セクターの大幅な取引増に牽引され、それぞれ89%と44%の増加を記録しました。APACの地域別で見ると、日本と東南アジアのパイプラインの活動は大幅に増加しましたが、いずれの地域も成約には至りませんでした。大中華圏は、取引成件数が増加した唯一のサブリージョンでしたが、その増加率はわずか1ポイントでした。
これらの案件のデューデリジェンスに要した日数については、あらゆる場所で前年と比較して増減が見られました。デューデリジェンスに要した日数は、大中華圏では80日減少し、一方東南アジアでは50日増加しました。
これをさらにセクター別、国別の取引パイプラインに分類し、デューデリジェンスに要した時間から傾向を細かく見てみましょう。
デジタルと産業力
DatasiteのDeal Drivers:APAC 2024年度レポートのMergermarketのデータによると、TMTセクターには276件の「売却案件」があり、今後APACで最も活発なセクターの一つになることが予測されます。
TMTのパイプラインの活動は2023年比で約90%増加しており、結果として、TMTはAPACの上位5つの業界の中で唯一、取引の成約を示しました。この業界では、デューデリジェンスに要した日数の中央値は200日でした。これは前年より56日短くなっており、決して簡単なことではありません。
工業セクターの新規取引は44%増加しました。Mergermarketによると、化学産業(I&C)セクターも2025年のAPACのM&A活動を牽引、327件の取引が予想されています。
エネルギー・電力セクターでは、パイプラインの活動が上位5つのセクターの中で最も減少し、新規取引は前年比で26%減少しました。このセクターのデューデリジェンスプロセスに要した日数は26日増加し、中央値が259日となった結果、同セクターのデリジェンスに要した日数は、前年比で同じようなポイント増加となりました。
昨年の全取引案件のうち、工業セクターが取引を成立できたのはわずか30%で、デューデリジェンスに要した日数は28日短縮され、中央値が158日となりました。これは、セクター別のデューデリジェンスにかかった日数が154日で、前年比33日短縮された消費者セクターに匹敵するものです。
ビッグ3+1
日本、中国、インドは、この地域の上位入札者としての地位を確立しました。日本は3,359件の取引を発表、これが前年比8%増となり、件数ベースではリードしましたが、取引総額は前年比8.3%減となりました。中国は、一部の高額取引に支えられ、取引額で優位を維持し、前年比7.8%増の2,800億米ドルに達しました。
日本のM&Aの勢いは、新規取引が前年比25%増と堅調に推移したことからも明らかです。昨年中に成約に至った案件数は全体の51%でした。これはすべて、デューデリジェンスに要した日数149日(中央値)で達成されています。
日本と同様、インドでも51%の案件が成約になりましたが、デューデリジェンスに要した日数は47日増え、中央値は338日となりました。
中国では状況が少し異なります。新規案件が前年より12%減少したにもかかわらず、全体の27%の案件が成約に至りました。中国はデューデリジェンスに要した日数を中央値で316日に微調整しました。これは昨年比で48日減少しています。
東南アジアもそのひとつです。両地域とも、案件の成約には至らなかったものの、パイプラインの活動は大幅に増加しました。新規取引は31%増加しましたが、取引完了率は29%にとどまり、デューデリジェンスに要した日数の中央値は266日で、昨年より50日増加し、APACで最高となりました。
Mergermarketのヒートチャートによると、大中華圏は、全セクターにわたって570件の潜在的取引があり、この地域のすべての活動の40%近くを占めています。インド、東南アジア、オーストラリア・ニュージーランドがこれに続いています。これら3つの市場はヒートチャートでほぼ同率であり、これらを合わせると、買収者が直近四半期に査定した取引の45%を占めています。
2025年に向けて、これらの案件のうちどれだけが上半期中に成約にこぎ着け、どれだけが効率化を達成し、デューデリジェンスに要する時間を短縮することができるかに注目が集まります。